2014年1月6日月曜日

iPhone 5s の指紋認証 "Touch ID" を軽快に使うためのコツ

iPhone 5s で初めて搭載された指紋センサー「Touch ID」、これを目当てに(iPhone 5c ではなく)iPhone 5s を選択した人も多いのではないかと思います。筆者もその一人で、iPhone 5s を手に入れてすぐに Touch ID を設定して使いはじめました。

使い始めてみると最初のイメージとは少し違う部分もあり、3ヶ月ほど使ってみてようやく Touch ID との付き合い方が分かってきたような気がするので、まとめてみたいと思います。



まずは Touch ID を使ってみる


Touch ID を利用するには、パスコードの設定が必須なので、まずは [設定]-[一般]-[Touch ID とパスコード] からパスコードを設定します。次に [設定]-[一般]-[Touch ID とパスコード]-[Touch ID]-[指紋を追加…] から指紋の登録を行います。センサーに登録する指を置いて、何度もスキャンさせます。ガイドの指示に従って進めていくだけなので、難しいことはありません。

ここで、あえてポイントを挙げるなら、

  • 実際に指を置くのと同じように指を置いて読み取らせること
  • そこからさらに周囲を読み取らせるように指を傾けて読み取らせていくこと
  • 「指紋全体をまんべんなく読み取らせる」ことにこだわらないこと

といった所でしょうか。Touch ID をオンにすると、

  • ロック解除時のパスコード入力
  • iTunes Store/App Store のパスワード入力

がホームボタンに指を乗せるだけでスキップできるようになります(それぞれ選択可)。


定期的に指紋を登録しなおすのがオススメ


え? と思われるかもしれませんが、Touch ID を使いこなす上で、これは最重要ポイントかもしれません。

この冬、手荒れで指がガサガサになってしまった人、いませんか? 最初はサクサクと認識していたのに、最近なかなか認識してくれない…という人、いませんか?

そんな時には、指紋登録を全部消去して、イチから登録しなおしてみてください。すると、最初のサクサク認識が戻ってきます。これは、当たり前といえば、まあそうなのですが…
指紋の登録は一回きり、というイメージ
を持っている人が意外に多くて、そのため、
認識率低下 → "Touch ID、ダメじゃん" → パスコードに逆戻り
というパターンで Touch ID を使わなくなってしまうのは、一番もったいないことです。

Touch ID が一回きりの登録でその人の指紋を永久に認識してくれれば良いのですが、実際にはそうではありません。Touch ID は指紋の特徴を抽出して記憶しますが、手荒れなどの指表面の状態の変化によって認識率が低下し、認識に必要なスキャン回数も多くなってくるのです。

少しでも認識率が落ちたなと思ったら、指紋の再登録をしてみてください。
再登録すると、その時点の指の状態での認識率がベストになる
ということが実感できると思います。ガサガサの指でも構いません、今現在の自分の指を登録しましょう。


登録する指は2本以内にしておく


Touch ID では指紋の数は、5つまで登録できることになっていますが、サクサク使うためには、2本以内をオススメします。その理由は、

  • 登録数が増えると認識効率が低下する
  • ロック解除に使わない指を登録するのは無駄

ということです。指紋がダメなときはパスコードという手段があるわけですから"万が一のため"に、使いもしない指紋を登録するのはナンセンス。認識効率を下げるだけです。再登録の際も登録する指紋の数は少ないに越したことはありません。


Touch ID の目的は何か?


結局、Touch ID が何をしてくれるのか?という話なのですが、Touch ID の存在意義は、
パスコード/パスワード入力の手間を省いてサクサク操作すること
これに尽きると思われます。実際アップルはそのように Touch ID を実装しています。

少なくとも現時点では、Touch ID はパスコードに対する補助的な位置づけになっていて、パスコード入力をスキップするための手段として提供されています。おそらく当分は、この位置づけが変わることはないと思いますし、指紋認証システムに過度に依存しないという点で、アップルのモノづくりの巧妙さ、バランスの取り方には感心します。

既存の生体認証システムの多くは "セキュリティー" そのものが唯一最大の目的になっていて、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、
正確な認証のためには、ユーザーの不便を厭わない
といった頑固なものが多く、例えば、指紋認証では、"まっすぐ指紋を読み取らせる" というような面倒な操作法に従う必要があったり、時には「うまく読み取れないので正しく指を置いて下さい」とユーザーに文句を言うようなユーザーインターフェイスだったり、認証にかかる時間も1秒程度なら許される、というようなものでした。

Touch ID では既存のパスコード/パスワードシステムの煩わしさを回避するための手段としての"快適さ"に重点が置かれています。Touch ID が指紋を判断するための時間はとても短く設定されていて、速度重視です。認識が難しい時にはさっさとギブアップして、最終的にはパスコードの入力を提案するようになっています。時間をかけて正しく判断することをユーザは求めていない、という判断です(日本のメーカーが苦手な発想ですね)。指を置く"向き"をユーザに強いることもアップルとしては"そんなのあり得ない"との判断でしょう。

将来的には、認証精度と速度の両方が向上することで、指紋認証がメインのセキュリティーとして位置づけられる可能性は無きにしもあらずですが、アップルはそういうつもりで Touch ID を出しているわけではないと思ったほうがよいと思います。「他の方式もあるのに、なぜ今、指紋認証?」という問いに対する答えも見えてきます。

そんなわけで、Touch ID を使うに際しては、
サクサク感を追求すること。サクサク感を損なう設定はしないこと。
を強くオススメしたいと思います。

(→ 関連記事: iOS7.1 で改良された指紋認証 "Touch ID" - 指紋を再登録してみよう